35歳の春、離婚した。8

あのさぁ

 

離婚の原因について書いていくわ。

 

そもそも俺ら夫婦は似た者同士だった。

 

どっちも勝気な性格でさぁ

喧嘩しても自分が優位に立ちたい、そんな細かいことをいつも争ってた気がする。

 

妻もなかなか素直になれねぇ性格だけど、俺はそれに輪をかけて素直になれねぇめんどくさい奴。

 

なんだかんだ最後には折れてくれる妻と、絶対に折れねぇ俺。

 

確定申告よりめんどくせぇ。

 

心の中では悪いと思ってるし、素直に謝りたいよ。

でもできなかった。

 

お父さんに反抗する女子高生かよ。

 

そんなめんどくささに、妻も嫌気を差していたと思うよ。

なんでこんなに素直になれねぇんだろうな。

自分でも不思議だよ。

 

そもそもさ、俺の心の奥底ではさぁ

 

「俺たちが別れるわけねぇ。離婚するわけねぇ」

 

っていう間違った思い込みが根底にあったんよ。

 

なにがあっても俺ら夫婦は一緒にいるっていう、間違った認識が俺の心の下地にあった。

 

その間違った思い上がりが、結果的に妻を大切にしてこなかった原因なんだろな。

 

そもそもここが間違ってるよな。

 

妻は物じゃねぇ。

俺の所有物じゃねぇんだ。

 

妻にだって感情はあるし、嫌になることだってある。

 

大事にされなきゃ別れたくなるだろ。

当たり前じゃねぇか。

 

元は他人だぞ?

 

他人が一緒に住んでるんだ。

嫌になりゃまた他人に戻るだろ。

 

こんな当たり前のことに気付いてなかった。

 

それは長年一緒にいた自負なのか、今まで何度も危機を乗り越えてきたからなのかわからねぇ。

 

ただ俺の中で「離婚なんてするはずがない」っていう間違った自信があったのは事実だ。

 

離婚話になる前、妻はよく

 

「もう男と女の好きじゃなくて、家族の愛情だよね」

 

みてぇなこと冗談っぽく言ってた。

 

「う~ん、まぁね」

 

なんて流してたけどさ

 

俺は普通に妻のことが好きだった。

 

まぁ、付き合いたてみてぇなラブラブさはなかったけどさ

 

家族としても、一人の女性としても好きっていう感情はあった。

 

でも恥ずかしいじゃねぇか?

今さら面と向かって好きだよなんて伝えるのもさ。

 

だからまぁ、好きな気持ちを言葉にして伝えるってことはなかったな。

 

普通さ、好きな人には優しくするよな?

 

そう、片想いだったあの頃のようにさ

妻が好きなら、自然と行動と言動に現れるはずだ。

 

でも俺はそれができなかった。

好きだったのに。

 

はぁ?

 

ほこ×たてか貴様?

 

絶対に穴が開かない金属vs絶対に穴を開ける高性能ドリルかよ?

 

そんぐらい矛盾してるよな。

 

俺も今、文章にして意味わかんねぇって思ってるよ。

 

でも現実にそうだったんだ。

 

妻のことを好きって思ってても、それを妻に伝えられねぇ。

大事にできねぇ。

 

長年一緒にいて、気恥ずかしさなのかわからねぇ。

妻に「男と女の感情はない」って言われたから、俺が好きって気持ちだったら負けた感あるって思ったのかもしれねぇ。

 

まっ、どっちにしろ小せぇ男だよ。

 

とにかく自分の気持ちを正直に伝えることができなかった。

 

これは俺の性格なのかもしれねぇけどさ

 

やることなすこと天の邪鬼なんだよ。

好きって言ったら嫌い、右っていったら左。

ピーコって言ったらおすぎ。

 

え、年長さんですか?

 

いいえ、35のおっさんです。

 

こんなんじゃ妻も「愛されてる実感」を持つなんて無理な話だよな。

 

妻にチョコをプレゼントした時みてぇにさ

その人のことを本当に大事に想ってたら気持ちって伝わるんよ。

 

理屈じゃねぇ。

 

俺は妻に好きって気持ちを伝える努力を怠ったってことだ。

 

好きって気持ちは努力なんかじゃなく、自然に伝わるもんだと思うけどさぁ

俺の場合、天の邪鬼が発動しちゃうから努力が必要なんだよ。

 

恥ずかしがらずに、言葉で伝える。

行動で伝える。

 

そういう努力が俺には必要だった。

 

ただ思ってるだけじゃ、絶対伝わんねぇ。

俺はこんなに好きなのに!って意固地になってたしな。

 

自分の気持ちを素直に伝える。

 

たったこれだけなのになんで出来なかったんだろうな。

大切なものを失って、初めて気付くって本物のバカ野郎だよ。

 

もう出家します。

探さないでください。

 

まっ、これは離婚を機に絶対に改めなきゃなんねぇ部分だな。

精進するよ。