35歳の春、離婚した。最終話

あのさぁ

 

そろそろ書くことないんだけど?

 

なんかさぁ

離婚のショックから立ち直るために書き始めたんだけどさぁ

 

途中から自分の気持ちをぶちまけて、スッキリする目的に変わっていったんだよね。

 

ただただ勢いに任せて書いてたから、構成とかも全く考えてなかったしな。

なんなら途中から「これどうやって終わらせんのよ?」ってちょっとキレてた。

 

俺がクリストファーロビンだったら、プーさんをボコボコにしてるよ。

そんくらいキレてた。

 

だからまぁここらで終わりにしようかなと。

 

一通り離婚の流れも書けたし、気持ちの整理もできたしな。

 

まぁなんだかんだグダグダ語ってきたけどさぁ

 

結局は「妻を大事にできなかった」

 

それだけのことなのよ。

 

その反省を書き殴ってただけ。

 

書いてる途中で、今までのことを色々と思い出してたんだけどさ。

 

息子が生まれた時さぁ

出産に立ち会ったんだよね。

 

俺は元々子供ってやつがそんなに好きじゃなかった。

 

だから息子が生まれるまでは

 

「かわいいって思えるのかな…」

 

ってちょっと不安だった。

 

でも息子が生まれた瞬間、そんなことすっ飛んじまった。

 

世の中にこれほど愛しい存在があるのかと思ったよ。

 

生まれた瞬間、ポロポロと涙が溢れて止まらねぇ。

俺、普段は本当に泣かねぇから自分でもビックリした。

 

感動したとか嬉しいとか、なんかそういう感情じゃなかったな。

 

ただただ「生んでくれたこと」に対する妻への圧倒的感謝が、涙となって溢れてきた、そんな感じだった。

 

ザ・ノンフィクションだったら、確実に竹原ピストルの曲流して泣かせにくるシーンだよ。

 

そんな妻への感謝の気持ちをずっと持ち続けていたら、こんなことにはなってなかったかもな。

忙しい日々の中、いつしかそんな気持ちも忘れちまってた。

 

息子の成長に比例するように、妻のことを大事にしてこなかった。

 

別れる前に、こんなこともあったな。

 

毎日毎晩、離婚の話し合いをしてたある日。

 

妻が美容室で髪を切ってきたんよ。

まぁ髪切るなんざ珍しくもなんともねぇ。

今まで何度もみてきた光景。

 

ただこちとら、絶賛離婚の話し合いの最中だ。

しかも離婚を決意した妻にしがみついてる真っ最中。

 

そんな中で髪を切り、キレイになって帰ってきた妻。

 

その姿がめちゃめちゃ可愛かったんだよ。

 

初めて妻と出会ったあの日みてぇな衝撃。

改めて妻を惚れ直した自分がいた。

 

担当美容師がここにきて渾身の仕事をしやがったんだよ。

あの野郎、いつもこんなにいい仕事しねぇじゃねぇか。

 

前なんてボンバーマンみてぇな頭で帰ってきたぞ。

 

このタイミングでめちゃめちゃキレイにするんじゃねぇって思った。

こっちゃ離婚話の最中だぞと。

 

でも違うんだよ。

 

今まで何度も何度も、髪なんて切ってきた。

そのたびキレイになって帰ってきてたんだろうな。

 

でも一度もそんなこと思ったことねぇ。

 

それだけ妻のことをちゃんと見てこなかったんだろうよ。

 

「どう?」って聞かれてもさ

「ああ、いいんじゃない?」って流して終わり。

 

もっと妻に興味を持ってさ

 

「似合ってるよ、かわいいね」

 

なんて言えたら、言える自分だったらさ

こんなことにはなってないんだろうな。

 

結局はそんな小さな小さな積み重ねがさ

ある日、金属疲労の如く妻の心をポキッと折ったんだろうな。

 

一緒にいるのが当たり前っていう、ありもしねぇ幻想にあぐらをかいてさ

一番大切な人を大事にしてこなかったんだよ。

 

当然、結果はこうなるわな。

ただそれだけのこと。

 

元々は赤の他人から始まった二人。

バイト仲間として知り合い、彼女、妻、そして今は元妻。

 

妻と共有する時間が経つにつれ、呼び方は変わってきた。

 

ただどんな呼び方に変わろうとさ

そこにはひとりの女性、ひとりの人間がいるだけなんだ。

 

俺はそこを勘違いしてた。

 

「妻」という呼び方に囚われて、縛り付けられてた。

 

「妻とはこうあるべき」

「妻なんだから一緒にいるべき」

「妻なんだからわかってくれよ」

 

そんな自分勝手な価値観を押し付けてきた。

ひとりの女性として見ようとせず、「妻」として接してきた。

 

「俺の妻」じゃねぇ。

 

「俺の妻になってくれた女性」だ。

 

こんな風に考えられてたら、そもそも離婚なんてしてねぇかもな。

 

それが俺に圧倒的に足りなかったもの。

 

大好きだった妻、そして最愛の息子。

一番大切なものを失っちまった。

 

でも、別れたからこそ気付けた部分がいっぱいある。

あのまま結婚生活を続けてたらきっと気付いてねぇ。

 

「痛み」を伴って、ようやく気付くなんて大馬鹿野郎だけどさ。

 

それでも気付けただけマシだと思うよ。

 

正直な話、俺にだって不満や言いてぇことは山ほどあった。

 

でも憎んでたって、なにも変わらねぇ。

相手への恨みだけで生きていくなんてばからしいじゃねぇか。

 

それより自分の非を認めて、成長してった方がいいよな。

離婚なんざ、男が悪者くらいでちょうどいいんだよ。

 

何年か後にこの記事を見直してさぁ

 

「ああ、俺も成長したなぁ…」

 

って思いたいもんだよ。

つーか、そうならなきゃ困る。

 

こんなに大きな代償を払って、自分自身なにも成長できなかったら終わってるよ。

 

正直まだまだ気持ちは暗いままだ。

でもいつまでもウジウジ過去にしがみついてたって仕方ねぇ。

 

どっかで踏ん切りつけなきゃな。

 

俺ができるのは、この痛みを成長に変えて精進していくことだけ。

まっ、ちょっとずつ前に進んでいくよ。

 

こんな知らねぇ夫婦の話に付き合ってくれてありがとよ。

おかげでちょっとはすっきりしたよ。

 

感謝の気持ちに、抽選で10名の方の背中かきます。

夏だし、かゆいだろ?

 

まっ、そんな感じでよ

ここらで終わりにするよ。

 

読んでくれてありがとな。