うちの会社の中途採用にプーチンがきたんだけど

あのさぁ

 

面接にプーチンが来たんだけど?

 

うん、プーチンってあのプーチンだよ。

ロシアの皇帝 ウラジーミル・プーチンだよ。

そのプーチンがさぁ

 

中途採用にきたんだけど?

 

もう会社中パニックだよね。

そりゃそうだよ。

プーチン履歴書持ってくるんだもん。

前職、大統領って書いてあるんだもん。

自慢じゃないけど、うちの会社超零細だから。

キングオブ零細企業だから。

 

主な業務は資金繰りだから。

 

そんなうちの会社にさぁ

ロシアの黒い爆撃機・プーチンがきたんだよ?

そりゃパニックになるわ。

パニック度合いでいったらワニワニパニックの比じゃないから。

んでさぁ

普通は丁重にお断りするじゃん?

こんな爆弾抱えきれないじゃん?

No thank you Putinじゃん?

でもさぁ

うちの面接担当者って

「生まれてから採用以外の言葉を喋ったことがないで有名な田中」

って奴なんだよね

こいつ採用以外の言葉知らねぇんだわ。

生まれた時も採用!採用!って泣いたんだわ。

そんな田中が面接するんだもん

当然、

 

採用

 

になるよねぇ。

 

はぁ?

 

どうすんだよこれ。

晴れてプーチンが部下になったわけだが

というわけでさぁ

 

プーチン採用になったんだよね。

 

まぁとんでもないことだよね。

こんなちいせぇ会社が、いきなりロシアを後ろ盾につけたわけだ。

こんなん世界征服も夢じゃないからな。

これ多分公安とかに目つけられてるから。

公安どころか、CIAとかもうちの会社の動向に目光らせてるから。

だってプーチンだもん。プーチン雇っちゃったんだもん。

 

しかも試用期間中だし。

 

あのプーチンに試用期間適用するうちの会社も中々よ。

しかも俺がいる「資金繰り課」に配属になったんだよね。

ってことさぁ

俺の部下になるわけよ。プーチンが。

給料泥棒界のルパンと呼ばれた俺のな。

でもまぁ、プラスに考えればこれってすごいことだよね。

だって俺、プーチンの上司になるんだもん。

あのプーチンをあごで使えんのよ。あの黒い爆撃機を。

いくらロシアの皇帝っつってもさぁ、この会社では俺の方がすごいから。

「会社創業以来、類を見ない仕事の出来なさ」で有名な俺でも、勤続年数っていう武器があるから。

俺は勤続年数で完全にプーチンを凌駕してるんだよね。

国を率いるのは一流でも、会社のお荷物としては俺の方が一流だから。

だからさぁ

教えてやんよ。

新入社員のプーチン君に社会の厳しさってやつをよぉ!

君がプーチン君かね?

俺「プーチン君、我々の課のメイン業務は資金繰りだ」

プーチン君「ハイ」

俺「我が社は風前の灯火。それでも諦めず、悪あがきするのが我々の責務だ!」

プーチン君「ワカリマシタ。オイ」

側近「はっ!入金完了しました!」

プーチン君「トリアエズ30億ホド、ニュウキンシトキマシタ」

俺「えっ?あっ…ま、まぁまぁかな!足りないけどね!全然足りないけどね!うちの会社の債務状況なめてもらっちゃあ困るなぁ!」

プーチン「ワカリマシタ。オイ」

側近「はっ!追加で20億入金しました!」

俺「・・・・・」

プーチン君「タリマスカ?」

俺「なんか違う…なんか違うの!資金繰りってこう、もっとなんか銀行を駆けずり回ってさ、頭下げてさ、融資担当に嫌味言われてさ、プライドもなにもかもかなぐり捨てて調達してくるもんなの!それをこう、ポンと20億だの30億だのってのは違うの!」

プーチン君「ナルホド。サスガセンパイデース」

俺「わ、わかりゃいいんだよ…今度から気を付けるように。よし、じゃあ取引先いくぞ!」

プーチン君「買収シマスカ?」

俺「買収しないの!普通にご挨拶するの!日本のサラリーマンはすぐ買収とかしないから!」

プーチン君「ナルホド、サスガセンパイデース」

俺「でも取引先の担当、嫌な奴なんだよなぁ…」

プーチン君「暗殺シマスカ?」

俺「暗殺しないの!日本のサラリーマンは嫌なことあっても暗殺しないから!ジャパニーズサムライは、胃がキリキリしながら耐え抜く戦士達だから!」

プーチン君「ナルホド、サスガセンパイデース」

俺「お前ちょっと馬鹿にしてるよな?」

プーチン君「シテナイデス!!コロシマスヨ!!!」

俺「(めっちゃキレるやん…)」

ところでさぁ

プーチン君さぁ

 

うちの会社に何しにきたの?

 

いうてさぁ

プーチン君はさぁ

ロシアの首領じゃん?

もう思いのままじゃん?

やりてぇ放題の人生じゃん?

そんな地位も名誉も捨ててさぁ

 

何しにきたの?

 

プーチン君「…ハナセバ、ナガクナリマース」

俺「いいよいいよ聞こうじゃないの」

プーチン「アレハ、二年マエノコトデース」

俺「うんうん」

 

プーチン君「Очень приятно」

 

ズコーーー!

 

俺「いや大事なとこでロシア語!」

プーチン君「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

俺「(めっちゃ笑うやん…)」

プーチン君「センパイ、マジデオモロイデース」

俺「いや唐突な関西弁!」

プーチン君「エ?コロシマスヨ?」

 

絡みづれぇ…

 

ホッホッホッ

社長「寒空の 下で食べる ピノ千個」

俺「しゃ、社長!」

社長「ホッホッホ、どうかね?新入社員は?」

俺「どうもこうもないですよ!なんでこんなどえれぇ人を雇うんですか!」

社長「ホッホッホッ、おっとまた一句浮かんだ。ここはどこ 埼玉経由の バルセロナ」

俺「(意味わかんねぇ…死ねハゲ)」

社長「ホッホッホ、彼は会社の為になると思ってね」

俺「ならないですよ!いきなりキレたり笑ったり、めちゃめちゃ絡みづらいんだから!」

社長「ホッホッホ、そうなのかね?ヒョードル君?」

ヒョードル君「ハイ、スミマセーン」

 

俺「え?」

 

結論:ヒョードルだった。

 

おしまい。

 

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