初めての合コンに立体機動装置を付けていったら

あのさぁ

人生初の合コンに呼ばれたんだよね。

そんでさぁ

初めてなもんでさぁ

勝手がわからないじゃん?

だから、ネットで合コンについて調べて準備してたんだわ。

俺、事前のリサーチは欠かさない派だから。

圧倒的データ派だから。

そしたらさぁ

興味深いデータを見つけたんだよね。

それが

 

合コンに立体機動装置を付けてった男子の、96%がお持ち帰りに成功。

 

激熱だよね。

このデータに出会った時は正直震えたよ。

マジかおいマジかって。

拝啓、お母さん。お元気ですか?こっちは本気と書いてマジです。ってくらいにさ

 

これね、進撃の合コン必勝法っていう情報商材でさぁ

情報料55000円だったけど

こんな激熱情報なら安いもんだよね。

 

知ってる?立体機動装置。

 

進撃の巨人のなんかビョーンってやつなんだけど。

 

その立体機動装置を付けただけで、お持ち帰りがほぼ確定するんだよ?

 

自慢じゃないけど、俺は人生でモテたことなんぞ、一回もない。

「今、彼女いらない時期だから」でずっと通してきたから。

バレンタインなんて、母ちゃんからも貰えなかったからな。

 

そんな非モテの俺でもさ

 

立体機動装置を付ければお持ち帰りできる

 

激熱だよね。

 

一緒にいく友達には、口が裂けても教えられない情報だわ。

だって言ったらみんな付けてくるっしょ?

 

みんな付けてきたら、ただの調査兵団の飲み会だから。

 

俺はそんなヘマは絶対しない。

いくら友達といえど、合コンという戦場では全員、奇行種だからな。

ということで、さっそく立体機動装置を注文するわ

やっぱアマゾンだよな

やっぱ買い物すんのはアマゾンに限るよな

立体機動装置で検索したら、めちゃめちゃ出てきたよ。

どれどれ…

 

「お子様も安全なプラスチック製です。」

 

はぁ?

 

なめてんの?

 

そんなプラスチック製なんかでお持ち帰りできると思ってんの?

 

女子は見抜くから。

本物を見抜く力半端じゃないから。

ジョシズアイなめんなよ。

なんかプレデターみたいに体温で見れる装置付いてるから。女子には。

高価なものは赤く映るからな。女子の目は。

 

悪いけどガキの使いじゃないんだわ。

 

そんなおもちゃで、合コンという名の戦場は生き残れないんだわ。

やっぱ本物を求めるならさぁ

 

鉄製だよな。

 

コスプレイヤーが認める高クオリティのものが欲しいよな。

 

どれどれ…

おっ!

 

「実物大1/1スケール 立体機動装置 総重量10キロ」

 

これこれ!こういうのを求めてたんよ!

価格は…

 

99800円。

 

安い!

なになに…

 

「アンカーワイヤーが飛び出しますのでご注意ください」

 

いいねいいねぇ!

こういう本格なのを待ってたんだよぉ!

これは本物を見抜く女子たちも満足するぞぉ!

正直これで、96%お持ち帰りできるんなら安いもんよ。

よしっ

ポチっとな

ふふっ、合コンが楽しみだぜ…

そして合コン当日

友A「あいつ、遅っせ~なぁ」

友B「ちゃんと時間は伝えたけどなぁ」

友C「初合コンに緊張してんじゃね?w」

 

ガシャガシャ  ガチャガチャ

俺「わりーわりー待ったぁ?ガシャガシャ」

 

友ABC「・・・・・・」

 

俺「どーしたぁ?ガシャガシャ」

友A「え、あ~、いや…それ…何?」

俺「え?なにがぁ?ガシャガシャ」

友B「それって立体機動装置?なんで?」

俺「あ、これぇ?あ、気付いちゃったぁ?ガシャガシャ」

友C「いや誰だって気付くだろ」

俺「いやいや特に意味ないよ。特に意味はないんだわガシャガシャ」

友B「いや意味なく立体機動装置付けてくるやつヤベェだろ…」

友A「あ!ウケ狙ってくれた?合コンの掴みはOKって感じかぁ?www」

友B「ちょ、お前、初合コンだからって狙いすぎぃwww」

俺「いや、狙ってないけど?ガシャガシャ」

友A「あ、そうなん…ごめん…」

友C「ま、まぁまぁ!女の子待たしてるし、とりあえず店入ろっか!」

友B「そ、そうだな!」

俺「あ、わりぃ!ちょっと仕事の電話だ!先入っててガシャガシャ」

友A「お、おう!じゃあ先いってるな」

 

友B「ちょ、なんなんあいつ?やべーだろ?」

友C「立体機動装置つけた男来たら、女の子ドン引きじゃん」

友A「まぁまぁそういうなって!あいつなりに一生懸命考えてきたんだよ!」

友BC「う~ん…」

初めましてぇ

友A「イエーイ!ちょっと待って、女子たちみんな可愛いんですけど~」

女子A「え~?そんなことないよぅ」

友C「あ、これからもう一人くるんだけど、その…」

友B「お、驚かないでね!」

女子B「え~?どんな人がくるんですかぁ?」

女子C「イケメンすぎて驚くとかぁ~?」

女子D「楽しみぃ~」

 

友ABC「ハハハハハ…」

 

俺「よしよし、そろそろかな?合コン必勝法には、少し遅れて登場すれば印象UP!って書いてあったからなガシャガシャ」

俺「遅れてきた俺が、立体機動装置付けてたら女子の目はクギ付けになるんだろうなぁ~ガシャガシャ」

俺「よし…いくか!ガシャガシャ」

 

ガラガラ

 

店員「いらっしゃいま…ちょっとお客さん!」

 

女子A「なんか誰か店員さんと揉めてない?」

女子B「うんなんか声聞こえるね~」

友A「来たかな?」

友B「来たね…」

友C「店員さんに止められとるやん…」

 

店員「ったく!今回だけですよ!ご予約のお客様ご来店で~す!」

 

友A「もう説得したやん…」

友B「店員もっと頑張れよ…」

友C「来るぞ来るぞ…ゴクリ」

 

ガシャガシャ

ガシャガシャ

ガシャガシャ

 

ス―ーーーッ

 

俺「わりーわりー!お待たせぇ!ガシャガシャ」

 

女子A「・・・・・・」

女子B「・・・・・・」

女子C「・・・・・・」

女子D「・・・・・・」

 

俺 (ふふっ、見てる見てる)

 

友ABC「あわわわわわ」

 

俺「どーしたぁ?みんな静かじゃなーい?なんかあったぁ?ガシャガシャ」

 

女子たち「・・・・・・」

 

友A「ま、まぁみんな揃ったことだし自己紹介でもしますか!」

友B「そ、そうだな!じゃあ俺から!Bです!商社に勤めてます!」

友C「イエーイ!Cです!広告関係の仕事してます!」

友A「イエーイ!Aです!SEやってます!彼女募集中です!」

 

俺「イェーガー!俺だ。お前ら、心臓を捧げよ!ガシャガシャ」

 

女子たち「・・・・・・」

 

友A「イ、イエーイ…め、名言じゃ~ん…」

友B「し、進撃の巨人じゃ~ん…」

友C「ハハハハハ…」

 

女子A「コ、コスプレとか好きなんですね!」

 

俺「え?したことないけど?」

 

女子A「あ、そうなんですね…」

女子B「え~じゃあその恰好はなんなんですかぁ?」

 

俺「え?ジーパンにパーカーだけど?」

 

女子B「あ、そうじゃなくて…そのぉ、鉄のなんかすごいやつ」

俺「あ、これぇ?え、気付いたぁ?気付いちゃったぁ?ガシャガシャ」

友A「それ以外見えねぇから…」

俺「これねぇ立体機動装置っていってねぇ、ん~なんていうかなぁ?さりげないお洒落?ガシャガシャ」

友B「全然さりげなくねぇ…」

女子B「あ、あ~そうなんですね~!なんかピアス的なぁ?」

 

俺「え?違うけど?」

 

女子B「あ、すみませ~ん…」

友ABC「あわわわわわ」

 

友A「と、とりあえずさぁ、乾杯しよーぜ!乾杯!」

女子C「そ、そうだね!じゃあみんなグラス持ってぇ!」

 

俺「俺まだ注文してないんだけど?」

 

女子C「あ、そうだよねぇ…ごめんなさぁい…」

 

友ABC (早く帰ってくれ…)

 

こちらカルーアミルクとお通しで~す!

友ABC (1杯目からカルーアミルクかよ…)

女子A「じゃあみんな飲み物揃ったし乾杯しよー!」

友A「イエーイ!」

 

じゃあ、

 

カンパ~イ

 

プシュ

ビヨーーーーーン

 

ガッ!

 

女子たち「キャッ!」

 

俺「あ、ごめんごめんワイヤー出ちゃったわ!ガシャガシャ」

女子たち「・・・・・・」

俺 (ふふっ、見てる見てる。本格派の立体機動装置にクギ付けだ)

 

友A「お、お前それあぶね~よ!」

友B「そーだよおい、もうそれ外せよぉ!」

 

俺「なんで?」

 

友C「いやだって、また出たら危ないじゃん」

俺「なんで外さなきゃいけないの?」

友A「せっかくの合コンだしさぁ」

 

俺「なんで?」

 

友A「いや、だからさぁ…」

 

俺「なんで?ねぇなんで?」

 

友ABC「・・・・・・」

 

友ABC (絡みづれぇ…)

宴もたけなわですが

時が経ち、女子たちも立体機動装置に見慣れた頃

 

女子A「キャハハハ!やだもうー」

友A「マジでマジで!マジなんだって!www」

 

俺「ねぇ」

 

友B「じゃあ今度ドライブ行こうよ」

女子B「えー、どうしよっかなぁ?」

 

俺「ねぇ」

 

友C「このあとカラオケ行かない?」

女子C「わ~!Cさんの歌聴きた~い!」

 

俺「ねぇってば」

 

俺「・・・・・・」

 

 

俺「イェーーガーーー!!」

 

 

友A「おわっ!ビックリした!」

友B「なんだよ急に大声出して」

 

俺「何なん?」

友C「え?」

俺「みんな何なん?」

友A「なんだよ。何怒ってんだよ?」

俺「なんで立体機動装置付けた俺を中心に話盛り上がらんの?」

友C「え?どういうこと?」

俺「だーかーら!ガシャガシャ」

 

俺「なんで立体機動装置を付けた俺を、もっとみんなでちやほやしないの!?」

俺「俺だけ話に入ってないから!俺だけ盛り上がってないから!俺だけサラダ取り分けてもらってないから!」

 

友B「なんだ、そんなことかよ。そりゃお前、みんな見慣れただけだろ」

俺「はぁ?見慣れたぁ?お前これいくらするのか知ってんのかよ!」

友B「知らねーよ。お前が勝手に買ったんだろ?さっ、みんな飲み直そーぜ」

 

俺「ぐ…ぐぬぬ…ガシャガシャ」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

俺「マズい…このままだとこの立体機動装置と情報料、合わせて155000円がパーになる…ガシャガシャ」

俺「つーか、なんかおかしいぞ?立体機動装置に全然食いつかんし、まさかあの情報はガセ…?」

俺「いやいや、そんなわけ…ハッ!」

 

女子D「・・・・はぁ、ゴクゴク」

 

俺「Dちゃん!なんであんなつまらなそうに…?そ、そうか!Dちゃんも余ってしまってるんだ!」

俺「今日は4対4の合コン!必ずペアになる計算…ということはDちゃんが俺の運命の人?まさに数字のマジック!これぞ神のご加護サンタモニカパラダイス!!」

俺「それにあの少し影のある感じ…どことなくミカサに似ている!間違いない!Dちゃんが俺の運命の人だ!Dちゃん!Dちゃん!ハァハァ…Dちゃん、君に決めた!」

 

ガシャガシャ ガシャガシャ

スッ

俺「あの~、Dちゃん?」

 

プルルルルルル

Dちゃん「あ、もしもし?今?合コン中。近くにいるの?あ、じゃあ抜けるから合流しようよ!」

Dちゃん「大丈夫大丈夫!つまんないし、そろそろ帰ろっかな~って思ってたし!それに」

 

 

 

Dちゃん「なんか立体機動装置付けてるキモい奴いるんだよね」

 

 

 

Dちゃん「そぉそぉ、進撃の!マジ意味わかんないんですけど死ねやカスって感じ!キャハハハ!」

Dちゃん「じゃ、今から向かうね~、はいはーい!」

 

俺「・・・・・・」

 

Dちゃん「ごめ~ん、みんな先に帰るね~!」

友A「あ、そう?じゃあそろそろお開きにして、二次会はそれぞれカップルで行く?」

友C「そだね~、よーしCちゃんカラオケいくぞ!」

女子C「イエーイ!いこいこー!」

友A「じゃあ解散ってことでー!」

女子A「海行きた~い」

友A「お、いいねぇ!いくかぁ」

 

ワイワイ アハハハハ

ありがとうございやした~

ガラガラガラ

ピシャ

 

俺「・・・・・・」

 

俺「・・・・・・」

 

俺「・・・・・・」

 

 

 

駆逐してやる…!

 

この世から…

 

リア充を一匹残らず!!

 

おしまい。

 

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