面接中にふいに白日歌ったらとんでもねぇことになった

あのさぁ

会社に辞表叩きつけてやったんだよね。

俺もついにあのくそったれブラック企業に見切りをつけたんだわ。

 

んでさぁ

上司に「辞めたいんですが」って相談したらさぁ、社内がもうお祭り騒ぎのランチキ騒ぎよ。

ついに辞めてくれるなんつって、社長なんか涙流して喜んでさぁ

事務の女の子なんか嬉しさのあまり卒倒しちゃったよ。

 

あー、よっぽど俺に辞めてほしかったんだなぁって

 

んで、ついでだから、もうどうでもいいやーってなったからさぁ

受付のかわいい女の子についでに告ったんだよね。

 

「あなたがチュキだからぁ!!」

 

つって。

 

そしたらさぁ

 

「あんたと付き合うくらいなら迷惑系ユーチューバーと付き合った方がマシ」

 

とか言われてさぁ

 

「はぁ?はぁぁぁぁあ!?」

「俺だってお前と付き合う気ないから!ついでだから!辞めるついでに告っただけだから!」

「大体俺結婚してっから!家に帰れば愛しのマイワイフが待ってっから!」

「勘違いすんじゃねぇよ!みぎわさんみてぇな顔しやがって!」

 

って言ってやったんよ。

まぁ家帰って布団で鼻水垂らしながら嗚咽したんだけど

 

まぁ、そんなこんなで無事会社辞めてさぁ

転職活動してたんだわ。

でももうブラック企業はコリゴリだからさぁ

ホワイト企業を探してたんだよね。杉咲花みたいな真っ白な会社ね。

んで見つけちまったのよ。

 

株式会社ブラックキギョー

勤務時間6時~23時
年間休日12日
給与・時給に換算すると39円です

賞与・0.004ヵ月(前年度実績)
勤務内容・色々やってます
求める人材・小卒以上、やる気のある方

 

どう?

めちゃめちゃ優良企業じゃない?

日付が変わる前に帰れるなんて

え、夢の国ですか?

 

これ、前の会社に比べたら天国なんだよね。

こんなん、とこなっつの楽園ベイベーってな感じで悪そうな奴は大体友達ってやつだから。

とにかくブラックキギョー、君に決めた!ってな感じでさぁ

ホワイト企業をGETしに行ったんだよね

 

面接日

んで面接になったんだけどさぁ

俺のほかにもう一人受けてたんだよね。

それがもう本当に仕事できなそうな奴でさぁ

なんかオドオドしてんの

こりゃ楽勝だなって思ってたんよ。

楽勝だけど、まぁ一応ライバルにしてやるかっつうね。

もう圧倒的上から目線だわな。

 

なんたって俺の武器は出勤することだからな。

ほかの仕事はなにひとつ出来ないけど、出勤だけはできるから。

これは大きなアドバンテージだからな。

 

んで、まぁそのライバルと一緒に面接が始まったわけよ。

 

面接官「それでは面接を始めます」

 

俺「シャーーーースッ!!!」

 

面接官「おわっ!ビックリした…君、いきなり大声出さないでもらえるかな?」

俺「すんまへん、うへへ (よしっ第一印象はバッチリだ)」

面接官「えー、じゃあそちらの君から経歴を教えてもらえるかな?」

 

ライバル「はい、東大経済学部を卒業して、三菱UFJ銀行入行、FP営業推進室に所属し、チーフファイナンシャルプランナーとして勤務していた所、ゴールドマンサックスにヘッドハンティングされ、マネージングディレクターとして新規プロジェクトの獲得に尽力し、中東における大規模投資案件が無事完了しましたので、先日セミリタイアしました。趣味はオーケストラ鑑賞です」

 

面接官「え?え?あ、あぁ…すごい経歴ですね…」

 

俺  (はぁ?はぁぁぁああ?)

俺 (そんな高スペック野郎がこんな底辺企業受けてんじゃねぇよ!こんな底辺企業は俺みたいな底辺野郎に任せて、あなたみたいな高学歴の勝ち組は、マッキンゼーとかでエリートコースを歩んで日本の経済を支えろよ!休日はクルーザーで水着美女とシャンパンパーティーしてインスタ映えでも狙ってろクソがっ!!)

 

面接官「えーと…じゃあ、次、君の経歴を教えてくれるかな?」

 

俺「・・・・・」

 

面接官「・・・君?」

 

俺「え、あ、おいどんですか?もしかしておいどんに聞いてらっしゃる?」

面接官「君以外にいないじゃないか」

 

俺「うへへへ!そうですよねー!俺以外俺じゃないみたいなゲスの極み乙女さーせんwwwって感じでねぇ!まいったねこりゃwww」

面接官「いいから経歴を教えてくれないかね?」

 

俺「あ、ああああ、はい、えーと、い、医学部っちゃあ医学部の江戸川工業高校夜間部を卒業してですね、なんていうかなーアメリカのなんかJPモルガンっぽいところと業務提携してる外資系のネジ工場に就職してですね、その後なんやかんやありまして、空き缶を拾ってその日暮らしっていうか、地球環境を考えてごみ拾いに精を出していた所、ベンツが停まっていてですね、腹いせに10円パンチをしまくっていたところ、持ち主にヘッドハンティング的な頭突きをされまして、そのまま無給で修理代を稼ぐまでその方の会社に拘束されまして、今朝方、着の身着のままセミリタイアしてきました。趣味は馬の鑑賞です。うへへへ」

 

面接官「…あぁそうなの。ふ~ん」

 

俺 (おいおいおい、まったく興味ねぇじゃん!っざっけんなよ!あの経歴のあとなんて月とスッポンじゃねぇか!有村架純と柴田理恵じゃん!こんなん見せしめじゃん!市中引き回しの刑じゃん!許せねぇ!許せねぇあの男!)

 

面接官「それじゃあ、志望動機を聞いてもいいですか?」

 

ライバル「はい、御社の強みであるファクトベースにおけるマーケティング戦略は、これからの時代に大きなイノベーションを起こす企業だと感じました。その戦略プランニングは問題解決に至るまで、あらゆる側面でクリエイティブさが発揮でき、インパクトの大きなマーケティング施策に携われると思いました。私が今まで経験したことがない、マルチタクス、すなわち物事のプライオリティをつけながら業務遂行できる企業と考え、御社を志望致しました。」

 

面接官「え、あ、そ、そうなんですか…とても素晴らしいことです…」

 

俺 (はぁ?はぁぁぁぁあ!?)

俺 (っざっけんじゃねぇよ!カタカナ使えばいいってもんじゃねぇから!こんな底辺企業の面接官がそんなもん理解できるわけねぇだろ!ふっざけんなよ!大体ここは日本だから!スシテンプラハラキリの黄金の国ジパングだから!日本語話せやこの売国奴がよぉぉおお!!っっっっっざっけんなっっ!!!!)

 

面接官「それでは君、志望動機は?」

 

俺「・・・・・」

 

面接官「・・・君?」

 

俺「え、あっしですか?もしかしてあっしに聞いてらっしゃる?」

面接官「君以外いないじゃないか」

俺「うへへへ!俺以外俺じゃ…」

面接官「いいから早くして」

俺「はい…」

 

俺「ええーとですねぇ、御社のですねぇ、コチュジャン?コチュジャンがですねぇ、そもそもこの時代のカーテンがコンクリートでして、鉄筋になりたいなーつって、御社の鉄筋になりたいなーつって、そのコチュジャンを理解するためには、レントゲンで戦略的にですねぇ、あの、コチュジャンをプランBに変更していかなければいけないメレンゲの気持ちです…」

面接官「はいはいわかりましたよー」

 

俺 (くっ…!全然興味ねぇじゃん…!)

 

面接官「それでは後日ですね、結果を連絡しますので、今日はこれで」

 

俺 (まずいまずいまずい…!このままだと100%落ちるの確定だから!このままだと不合格確定だから!確定申告より確定だから!なんかないか?なんかないか?この窮地を大逆転できるウルトラCは…)

 

面接官「それではお疲れ様でした」

 

 

 

俺「・・・・・」

 

 

 

ときー にはー だーれーかをー

 

 

 

面接官「え?」

 

 

 

しらーずしらずの うちにきずつけーて

しまっーー たりーー

 

 

 

面接官「ちょっとちょっと…何歌ってんの!?」

 

 

 

うしぃなったりー してーはじめてー

おかしたつみをーーしるぅーーーーー

 

 

 

面接官「音痴…!圧倒的、音痴…!」

 

 

 

ゆきがーー

ふりしきぃーろぉうとむぅぉーーー

 

 

 

面接官「いやいや、歌い切っちゃったよ。なんだったんだよこれ」

 

 

 

 

ライバル「いまのぼくにはなにができるの?」

 

 

面接官「常田パートお前かーーーい!!」

 

 

結論:二人とも落ちた。

 

 

おしまい。

 

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