35歳の春、離婚した。2

あのさぁ

 

俺の家族構成なんだけどさぁ

 

妻と息子の3人家族なんだよね。

息子は小学生。

 

離婚にあたってさぁ

やっぱり子供の存在って大きいんよ。

 

子供がいなきゃ簡単に離婚できるってわけじゃねぇけどさ

子供がいることによって離婚のハードルが高くなるのも事実だ。

 

子供がいる以上、嫌いになった=離婚とはなんねぇのよ。

 

実際問題、うちにも息子がいる。

俺が溺愛する自慢の一人息子。

 

こいつがほんとにかわいいんだわ。

まぁ我が子だから当然なんだがな。

 

もうね、かわいすぎて、目の中に入れたら当然痛い。

 

素直で、子供らしくて、無邪気でさぁ

愛嬌たっぷりな笑顔がかわいいだこれがまた。

 

まぁちょっとばかし勉強が苦手だけどさぁ

それもご愛嬌だよな。

 

なんでも一生懸命やるいい子なんだよ。

 

俺の息子とは思えねぇくらい出来過ぎた息子。

 

妻とは離婚しちまったけど、結婚したことを後悔なんてするわけねぇ。

 

だって、こんなにかわいい息子に恵まれたんだから。

 

俺と妻が出会ってなけりゃ、絶対に生まれねぇ息子。

 

奇跡に奇跡が重なって、妻と出会い、結婚し、そして生まれてきてくれた息子。

 

生んでくれてありがとう。

俺んとこ来てくれてありがとうな。

 

そんな愛する息子をだ。

 

絶対に悲しませちゃならねぇ息子。

生涯かけて守っていかなきゃならねぇ息子にだ。

 

俺は離婚という名の、大きな傷を負わしちまった。

 

父親失格どころか、人間失格だろ?

 

俺が体育教師だったら、有無を言わさずグラウンド50周だよ。

 

THE・最低パパ。

令和のクソ野郎。

 

山奥で仏像でも彫りながら余生を送りたい気分だよ。

 

俺ら夫婦はさぁ

息子の前では平静を装ってたんよ。

 

ギスギスした感じを出さないでな。

仲が良い夫婦を演じてた。

 

それでも子供だって馬鹿じゃねぇ。

 

息子は何かを感じ取っていたと思うよ。

なんか言葉では表せねぇ雰囲気っていうのかな?

 

そういう両親のなんとも言えねぇ雰囲気は感じてたと思う。

子供って敏感だからな。

 

それでも表面上は普通の仲良さげな両親なわけだ。

 

息子からすりゃ当然、離婚なんてして欲しくねぇわな。

パパとママといたいわな。

 

それを大人の都合で変えちまうわけよ。

 

申し訳なさ過ぎて涙もでねぇ。

 

息子に離れて暮らすことを伝える時が一番辛かった。

 

まだ受け入れられる年齢じゃねぇからさぁ

仕事で遠くに行くとか嘘ついた方がいいかな?なんて話し合ったんだよね。

 

でも事実をしっかり伝えることにしたんよ。

 

当然、離婚なんて言葉は知らねぇだろうし、ちょっと嚙み砕いてさ。

 

子供扱いしないで、ひとりの男として、真正面からキチンと伝えようって。

それが親としての責任だよって。

 

そしたらさ

真剣な顔して、しっかり聞くんだよ。

 

いつまでも子供だと思ってたけど、知らぬ間に成長してんだよ。

いつの間にか、男になってた。

 

普段はゲームばっかして、いつまでも甘えん坊だったあの息子がだ。

真剣な話だって息子なりに感じ取ったんだろうな。

 

しっかりとこっちを見据えて、話を聞いてくれたよ。

 

だから俺も一人の男として、しっかりと話した。

 

一言一言、息子にとって辛い事実をな。

 

唇をグッと噛んで、手をギュッと握りしめてさぁ

 

大泣きするわけでもなく、ポロポロと涙を流しながら俺の話をしっかり聞いてくれたよ。

 

あの姿は一生忘れねぇよ。

本当にごめんな。

 

それでも我慢できずにな

 

「やだ… 一緒に居たい…」

 

なんて小声でいう息子に

 

「男の子だからママのこと守ってほしい」

 

なんてどっかで聞いたことあるようなセリフいってさぁ

 

ふざけんじゃねぇよ。

 

それは父親であるてめぇの仕事だろ。

 

それを息子に託すなんざ、情けなすぎて涙も出ねぇよ。

 

でもな、息子が納得しなくても離婚という現実は変わらねぇ。

いやむしろ納得してもらわなきゃ困るんだよ。

 

だから丁寧に丁寧に、伝えたよ。

納得なんざしてねぇだろうけど、一応落ち着くまでな。

 

しっかりと向き合って、息子の心に傷を負わせていったのよ。

最愛の息子にな。

 

これは俺が一生背負っていかなきゃなんねぇ罪だよ。

絶対に忘れちゃならねぇ。

 

俺ができるのは息子が不憫な思いをしないよう、養育費の支払い・妻のサポートを全力でしていくこと。

 

それしかできねぇ。

 

そんな最愛の息子がいる俺ら夫婦が、それでも離婚という選択をしたわけだ。

 

ここに至るまでは、妻も相当悩んだはずだよ。

 

子供の為に私が我慢すればいい…子供の為に私が…子供の為に…子供の為に…

 

それでも最後は離婚という方向に舵を切ったんだ。

 

生半可な覚悟じゃなかっただろうよ。

 

それほどまでに追い詰められていたんだな。

いや、俺が追い詰めてたんだよ。

 

情けねぇったらありゃしねぇ。

 

渡り廊下で先輩を殴りたい気分だよ。

 

タイムマシーンがあったら、間違いなく過去の自分を殴りに行ってるよ。

 

いやそれだけじゃ足りねぇ。

 

長袖・長ズボン全部捨ててやるからな。

冬も、のび太スタイルでガタガタ震えてろよ。

そのくらいの罰が必要だよ。

 

「お前、一体なにしたのよ?」

 

って思ってるよな?

 

まっ、離婚の原因はおいおいな。

 

とにかく息子を傷つけた、最低の父親が俺ですっつー話よ。