あのさぁ
妻との出会いについて書いていくわ。
え？はよ離婚の話書けって？
おいおい、少しくらい思い出に浸らしてくれや。
ただでさえセンチメンタルジャーニーな俺だぞ？
泣くぞコラ？
イオンの総菜コーナーで泣き喚いたろかい？
まぁ、知らねぇ夫婦の出会いなんざ興味ねぇだろうけどさ
ちょっとくらい見てってくれや。
なっ？
妻との出会いは17年前。
その日は季節外れの雨がザーザー降っててな。
嘘です。かっこつけました。
ピーカンの晴れでした。すみませんでした。
まぁ、俺が右も左もわからねぇピュアな18歳の時だよ。
人生に希望しかねぇ18歳。
まさか17年後にこんなブログを書いて、沈み散らかしてるとは夢にも思ってねぇ18歳よ。
あ、ちなみに妻も同学年な。
当時学生だった俺と妻は、アルバイト先で出会ったんよ。
先に妻が働いててな、そこに俺があとから入った。
まっ、いわゆるバイト先の先輩なわけよ。
んで、記念すべきバイト初日。
俺は緊張の面持ちでバイト先の裏口に立ってたんよ。
初めてのバイトだ。そら緊張すらぁな。
んでな、意を決して「さぁいくぞ！」ってドアノブに手をかけたらさ、勝手にドアが開いたんよ。
そこから出てきたのが妻だった。
それが俺と妻の初対面。
脚色してねぇぞ？
マジ話だからな？
そん時の会話はあんま覚えてねぇけど
「新しい人？よろしくね」
みてぇなことを言われたんだと思う。
でもその光景だけはハッキリと覚えてる。
なぜならそれは、俺が一目惚れした瞬間だったから。
そう、俺の一目惚れだったんだよ。
始まりは。
一目惚れしない男で有名なこの俺がだぜ？
リュック背負った姿がかわいらしくてさ。
完全にやられちまったんだよ。
ハートをズキュンってやつだ。
ドキドキが止まらねぇのよ。
それ、心臓弁膜症かもしれません。
まぁ俺が一目惚れしたなんて、妻には一言も言ってねぇがな。
だって恥ずかしいだろ？
照れ屋さんなんだよ。俺は。
でも確かにあの日、あの瞬間、俺は妻に恋をしたんだ。
そっからの俺はウキウキだったよ。
そりゃあ好きな女がバイト先にいるんだ、浮かれるわな。
お互い学生だったからか、シフトはよく一緒だった。
一目惚れから始まった恋だったけど、妻を知れば知るほど、俺はどんどん好きになっていった。
でも悲しいかな。
妻が俺のことをなんとも思ってないのはわかっていた。
なぜなら当時の妻には遠距離恋愛中の彼氏がいたからだ。
なんてこった・・・
しかも遠距離ときたもんだ。
会えねぇ時間が、二人を燃え上がらせるっつーあの噂の遠距離恋愛だよ。
はぁ？
ふざけんじゃねぇよ。
なにが遠距離だよ。
ゴルゴ13か貴様は？
近距離の俺を選べってんだ。
当時の俺はそんなことばっかり考えてたよ。
かたや遠距離の、会いたくて会いたくて震える彼氏。
対するこっちは単なるバイト仲間。
おまけに妻の連絡先も知らねぇ。
聞く度胸もねぇ。
陽に当たる要素がねぇ。
完全に田中圭の役どころ。
わかるか？同じ土俵にも立ってねぇのよ。
妻にとって俺は完全に恋愛対象外。
つーか、妻にとって彼氏以外の男なんざ完全に泥団子と同義。
クリス松村のいきつけの美容室並みに興味がねぇ。
お話になんねぇだろ？
負け戦こそおもしろいってどっかの侍が言ってたけどよぉ
俺はそんなのごめんだね。
絶対に負ける戦なんざしたくねぇ。
だってそうじゃねぇか
彼氏がディープインパクトで、俺がチョロＱくらいの圧倒的戦力差だろ？
絶対負けんじゃねぇか。
開始2秒で決着だよ。
これが叶わぬ恋ってやつなんだな。
だからさ
好きな気持ちにソッと蓋をしたんだよ。
そうやって連絡先も知らねぇままさ
仲が良いバイト仲間としての日々を過ごしてた。
それでも俺は十分幸せだったよ。
たとえどうにもならなくてもさ、好きな人と一緒に働けるだけでな。
でもさぁ
やっぱり好きな気持ちは日に日に高まっていったんだ。
どうにもならねぇくらいにな。
まっ、長くなるから今日はこのへんでな。
え？なげぇって？
うるせぇな、人の思い出にチャチャ入れんじゃねぇよ。
記憶を辿ってたら、あれもこれもって筆が止まんねぇんだよ。
もうちょっと書かせてくれよ。
なっ？
